司法書士法人あさひのブログ

会社解散 2/4

  • 2022.9.2
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「何か気になったことはあった?」

「特に、問題ないよ。有限会社だったんだぁくらいかなぁ。」

「他には、何を確認しなきゃいけない?」

「うん。定款と株主を確認したいな。おそらくおじさん一人が株主だろうけど、解散決議は、株主総会で決議しなければいけないからね。」

「株主は、どうやって確認する?」

「本来なら株主名簿。でも、作ってないよね~。うちのお客さんでも株主名簿作ってない会社ばかりだもん。申告書の別表2を確認するのとおじさんに直接確認するよ。」

別表2とは、申告書の中の「同族会社等の判定に関する明細書」のことで、そこに株主の記載がされている。

本来なら、会社は必ず株主名簿を作成しなければならない。会社法で規定されているからだ。

しかし、残念ながら株主名簿を作成していない会社がほとんどだ。

「うん。それでいいと思うけど、別表2が株主名簿に代わるものではないから、きちんと議事録の履歴見て、株主がどうなっているのか確認して。会社法では、毎年一回定時株主総会を開かないといけないことになっているでしょ?」

「うん。」

「定時総会で役員報酬決めるはずだから、必ず議事録は、1年に1枚はあるはず。」

「でもさ、議事録には、株主の名前は載っていないでしょ?」

「株主総会を開かず、みなし決議をしている可能性もある。だとすれば、株主全員の同意をもらっているはずでしょ?過去の書類からきちんと株主を確認してね。」

「ところで解散スケジュールは、頭に入れた?」

「えっ?受験知識くらいしかないよ」

「受験知識でいいから聞かせて」

「はい。まず①株主総会で解散決議をする。決議の承認がとれたら、債権者に対して通知・公告する。異議を述べた債権者がいなかったり、異議を述べた債権者に弁済して清算が終われば清算決了登記をする。」

「まぁ。そうね」

「ところで、会社が解散決議をしたらどうなる?」

「清算手続きに入る」

「どんな会社として機能している?」

「清算の目的の範囲のみ権利能力を有する会社になる。」

「例えば?」

「清算の目的の範囲内だから、債権の取り立てとか債務の弁済とか。」

「そう。逆にできないことはある?」

「営業活動や、合併とか分割の存続会社となること」

「受験知識ちゃんと残ってるじゃん。」

「まぁね。」

「じゃー、募集株式の発行はできる?」

「あれ。どうだったっけ?清算の目的の範囲内しか権利能力がないということからすると、会社を大きくするような行為である株の発行は、できないような気がする。でも、なんだろう。もやっとする。受験で意味もなく、できると覚えた気がして。」

清算中の会社のできることとできないことは、受験対策で覚えた。

つづく