司法書士法人あさひのブログ

司法書士日誌*はじめての決済*(不動産登記)3/4

  • 2022.1.5
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決済当日

「行ってきます!」

「頑張って。大丈夫。」兄をはじめ事務所スタッフのみんなが優しく声をかけてくれた。

「何かあったら電話して。対応できるようにしておくから」と兄。

みんなに見送られながら、いざ出陣だ。

 

仲介さんの事務所に着くと、ちょうど売買契約の読み合わせをしているところだった。

10時30分(契約が終わる頃)に来てくれとのことだったが、予定が少しずれこんでいるらし

い。隣のテーブルに通された。

しばらく待たされ、その間に、売主さんの登記済証や印鑑証明書を仲介さんから確認してくれと

渡される。

 

まず、不動産の登記簿謄本の所有者(売主)の住所が今回の売主さんの印鑑証明書の住所と一致

しているか確認する。印鑑証明書は、コピーをもらっていたが念のため再確認だ。

次に、心配だった登記済証の確認。これも今回の不動産の売買物件の登記簿の不動産の表示や受

付番号と登記済証の不動産の表示が一致しているか確認だ。

不動産登記簿上に記載されている所有者は、印鑑証明書の氏名・住所の記載と一文字一文字全て

一致して初めて同一人物と判断される。印鑑証明書の住所・氏名が登記簿上の氏名・住所と一文

字でも違えば、不動産の登記簿の所有者として記載されている人ではないと判断され登記は通ら

ない。

登記済証も同じだ。所在地が不動産の登記簿謄本の所在地と違えば、その登記済証が、今回の対

象物件の土地の登記済証ではないと判断される。最新の注意をもって、一文字一文字確認しなけ

ればならない。

 

「・・・えっ。あれ?登記済証の印字の受付番号は一致しているのに、不動産の表示がちがう。

えっなぜ?」

と、そこへ仲介さんが「司法書士さん代金の支払いをしていいですか?」と聞いてきた。

 

司法書士のGOのサインがない限り、売買代金の支払いはしない。登記に必要な書類が調わない

と、売主から買主への所有権移転登記ができないからだ。売買代金を支払っても登記をしなけれ

ば、登記簿上、いつまでも売主さんが所有者として記録されていることになる。悪い売主さんで

あれば、それをいいことに違う買主さんをみつけて、売買契約をしてしまうかもしれない。そん

なことをさせないために、我々司法書士は、登記に必要な書類を用意し、預かり、決済日当日

に、売主から買主への所有権移転登記を申請するのだ。

 

「ちょっと待ってください。登記済証の不動産の表示が違います。確認させてください。」

なんとかそれだけ言うと、私は、外へ飛び出していた。急いで兄に電話をする。

「お兄さん、謄本の表示と登記済証の所在地の住所の表示が違う。」

「写メで送って」といつになく鋭い口調の兄

急いで、写メでおくる。すぐに電話をかける。

「とにかく落ち着いて待ってて。電話するから」

とても落ち着いてなどいられない。売主さん、買主さん、仲介さんがじっと

私のGOサインを待ってこちらをじっと見ているのだ。

 

つづく