司法書士法人あさひのブログ

株式会社設立 8/10

  • 2022.5.6
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「皆さんは、どのように定めておりますか?」

「はい。私が設立のお手伝いをしている会社では、官報と定めるケースがほとんどです。例えば、ホームページを公告方法とすると、貸借対照表の全文を掲載しなければならないこと。また、合併などの際の公告に関しましては、調査会社に依頼しなければならないこと。などのデメリットがあるからです。

「それでは官報でお願いします。」

「はい。」

「資本金は、500万円でお間違いないですか」チェックシートを見ながら確認する。

「はい。変更ありません。僕が全額出資します。」

「承知しました。それでは、1株の金額を1万円として500株発行という風にしますか?それとも、1株の金額を1000円にして5000株発行にしますか?」

「なるほど。1株の金額を100円にすれば50000株という風にもできるんですね。」

「はい。」

「1株1万円で500株にします。あんまり1株の金額を下げたくないです。」

「次に株式譲渡制限の設定の可否について考えていきましょう。」

「はー」

「株式会社の株式は、原則譲渡自由です。なので、設立後の株式500株を全て伊藤さんが所有することになりますが、その後、弟さんに例えば200株譲渡したとします。株主が2人になりました。弟さんは、自由にその株を譲渡できますので、例えば伊藤さんの知らない方に弟さんは、200株全て譲渡することができます。そして、その知らない方も誰かに譲渡できます。どうですか?」

「いやー。困ります。以前、先生は、株主が会社の所有者だと仰っていました。僕の知らないところで株が譲渡されて、知らない人と会社を所有することになるなんて」

「えー。そうですよね。なので、まずは、株式を譲渡することを制限するための規定をしましょう。それが、株式譲渡制限の規定の設定です」。この規定は、どういうものかというと、株を譲渡するには、会社の承認が必要ですよ。という規定です。承認機関を株主総会とすれば、伊藤さんが株主なので、伊藤さんの承認が必要ということになります。承認機関を代表取締役とすることもできます。

この譲渡制限の設定をすることで、知らない間に知らない人に株を譲渡することはできなくなります。

「よくわかりました。ただ、譲渡を承認しない場合は、どうなりますか?」

「はい。この場合は、会社が買い取るか、会社が指定した誰かが買い取ることになります。設定した方が良さそうですね。」

「はい。株式譲渡制限の規定を設定します。」

「承知しました。つぎに株式の発行限度数を決めます。設立時に、発行済する株式は500株です。この株式を何株まで取締役の決定だけで発行できるかの限度数を定めます。」

「例えば1万株とかでもいいのですか?」

「今回、株式の譲渡制限の設定を設けるため、非公開会社となります。なので、限度数は、自由に決められますよ。」

「では、1万株にします。もし、会社設立後2万株に変更したいときはどうすればいいですか?」

「はい。定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要です。つまり、株主総会の決議で可決されれば、2万株に変更できます。はじめのうちは、伊藤さんお一人の株主なので、伊藤さんが自由に変更できます。」

つづく