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株式の種類のおはなし~ Part 8

前回は、種類株式のうち下記⑦の説明をしました。
今回は、⑧拒否権付株式に関する規定について話をしたいと思います。

【種類株式の内容】

①剰余金の配当規定
②残余財産の分配規定
③株主総会の議決権制限規定
④譲渡制限株式に関する規定
⑤取得請求権付株式に関する規定
⑥取得条項付株式に関する規定
⑦全部取得条項付株式に関する規定
⑧拒否権付株式に関する規定~黄金株~
⑨役員選任権規定

≪拒否権付株式とは≫

拒否権付株式とは、株主総会や取締役会または清算人会で決議する特定の事項について、当該決議のほか種類株主総会の決議をも必要とする種類の株式です。

この株式を設定することにより、会社が特定の事項を決議する場合、当該事項については種類株主総会の決議も必要となるため、当該種類株主は、「拒否権」を有していることと同様の権限を持つことになります。

例えば、株主総会の議決権数2000個所持しているAさんでも、議決権数1個の拒否権付種類株式を所持しているBさんによって株主総会の決議が否決される可能性があります。
それゆえ拒否権付種類株式は、大きな権限をもつことから黄金株とも呼ばれます。

拒否権の対象となる決議事項

株主総会・取締役会・清算人会において決議すべき事項

  • 定款変更
  • 株式・社債の発行
  • 重要財産の譲り受け
  • 代表取締役の選定
  • 組織再編行為
  • 資本金の減少
  • 剰余金の配当
  • 解散 等

【活用例】

事業承継の場面において、現経営者が後継者に経営を任せることに不安がある場合には、黄金株1株だけを自分に残せば、その他の株式を後継者に譲渡しても経営に対しコントロールを効かせることができるので、後継者の間違った経営判断を未然に防ぐことができる。

≪気を付けなければいけないこと≫

黄金株を保有する株主が亡くなった場合は、遺言等対策をしていなければ、その株式は、相続人に相続されます。
予期せぬ事態により、会社にとって好ましくない相続人が株主となり、拒否権を行使される可能性もあります。
黄金株の導入は、専門家に相談し、慎重に検討する必要があります。

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