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属人的株式のおはなし

全9回にわたり種類株式についての説明をしてきました。
おさらいをすると、会社法では、株式というのは、普通株式のほかに、今まで見てきた9種類の株式(組み合わせ自由)を発行することができます。この9つの株式のことを種類株式といいます。

この9つの種類株式とは異なるのですが、類似しているものとして、属人的株式というものがあります。
今回は、その属人的株式についてお話をしたいと思います。

属人的株式とは、以下3つの権利に関する事項につき、株主ごとに異なる取り扱いをすることができる株式のことです。(会社法109条2項)(会社法105条1項)

  1. 剰余金の配当を受ける権利
  2. 残余財産の分配を受ける権利
  3. 株主総会における議決権

例えば、下記のような株主構成の会社が株主Cの議決権を1株につき10個と定めた場合

株主Cの株式の所有数は、20株であるが議決権の数は、200個となる。
このような規定を設ける場合には、定款を変更します。

※定款変更の決議については、注意点に記載

【注意点】

  1. 公開会社(株式譲渡制限に関する規定を設定していない会社)は、発行することができない。
  2. 属人的定めを設定するための定款変更決議要件は、総株主の半数以上であり、総株主の議決権の4分の3以上の多数による賛成が必要。
    上記例でいうと、ABCのうちの2名が賛成し、かつその2名で総議決権数の3/4の議決権を満たしていないと可決されません。
    (ABが賛成すれば可決する。AC又はBCのみの賛成では可決しない)
  3. 株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定めは、無効。

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