トピックス

株式の種類のおはなし~ Part 5

前回は、下記④の種類株式の説明をしました。
今回は、⑤の株式の取得請求権付株式に関する規定につき話をしたいと思います。

【種類株式の内容】

①剰余金の配当規定
②残余財産の分配規定
③株主総会の議決権制限規定
④譲渡制限株式に関する規定
⑤取得請求権付株式に関する規定
⑥取得条項付株式に関する規定
⑦全部取得条項付株式に関する規定
⑧拒否権付株式に関する規定 ~黄金株~
⑨役員選任権規定

取得請求権付株式とは、株主側から会社に対して、自身の所有する株式を取得するよう請求できる株式

会社が発行する株式の全てにこの条件をつけることも一部だけにつけることもできます。
(厳密には、発行する株式の全てにつけた場合は、単一株式会社となりますので、種類株式発行会社とはなりません。)

株主から上記株式の取得を請求されたときに、会社が交付する対価としての財産の内容については、制限がありません。ですので、対価として、金銭・社債・新株予約権・新株予約権付社債・他の種類の株式等と定めることができます。

ただし、発行する株式の全てにこの条件をつけた場合は、他に発行している株式が存在しないため、取得対価を他の種類の株式とすることはできません。

注意しなければいけないことは、財源規制があることです。

取得の対価が、当該会社の株式以外の財産(例:金銭・社債・新株予約権・新株予約権付社債等)であるときは、会社は、分配可能額(※1)を超えた買い取りをすることはできません。もし、分配可能額を超えて会社が株式を取得したときは、その取得は無効となり、互いに返還義務を負います。

また、分配可能額の範囲内で株式を取得した場合でも、取得をした日の属する事業年度(※2)にかかる計算書類につき承認を受けた時に欠損が生じた場合は、職務を行った取締役等は、欠損の額と株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額のうちいずれか低い価額を会社に対して連帯して支払う法定の特別責任が生じます。

  1. 会社法461項2号に定める計算方法で計算しますが、その条文は非常に難解です。計算の目安としては、次のようになります。
    分配可能額=その他資本剰余金+その他利益剰余金-自己株式(簿価)
  2. その事業年度の直前の事業年度が最終事業年度でないときは、その事業年度の直前の事業年度をさす

【活用例】
実質的に流通性の少ない非公開会社の株式の買い取りを出資者に保証することにより、出資者の株式売却への機会を与え、投資(資金調達)を促す効果が期待できます。

関連記事

コメントは利用できません。