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<民法(債権法)が4月1日から変わりました②>|2020年6月第165号より|

4月1日に施行されました改正民法の内容について、前回に続いてご説明します。

【定型約款】

現代社会では、電気・ガスの供給契約やスポーツジムの利用契約等事業者が不特定多数の顧客を相手に定型的な取引をする場面が多く、このような取引の場面では、当事者の一方が用意した定型約款が多く用いられています。改正民法では、新たに定型約款に関する規定が設定されました。

Ⅰ)定型約款の合意

定型的な取引を行うことの合意があった場合で、かつ、次の①又は②に該当する場合は、定型約款の個別の条項についても当事者の合意があったものとみなされます。

  1. 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
  2. 定型約款を準備した者(「定型約款準備者」といいます。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。

Ⅱ)定型約款の変更

定型約款準備者は、定型約款の変更が次の①及び②に該当する場合で、かつ、③の手段を講じた場合に、相手方との個別の合意なしに定型約款による契約の内容を変更することができます。

  1. 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
  2. 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性等に照らして合理的なものであるとき。
  3.  変更の効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネット等で、変更の効力発生時期までに周知すること。

【契約不適合責任】

売買契約の履行として引き渡された物が契約の内容と適合していない場合(例:故障している、色が違う、数量が不足している等)、買主は売主に対して目的物の修理や交換、不足分の引渡し等の追完請求ができるようになりました。そして売主による追完がない場合、買主は代金の減額を請求できるほか、契約の解除や損害賠償請求ができます。(損害賠償請求は売主に帰責事由がある場合に請求できます。)

なお、履行の追完が不能であるとき、売主が履行の追完を明確に拒絶しているとき等、買主が追完を請求をしても売主に履行されないことが明らかな場合は、追完を請求をすることなく契約の解除や損害賠償請求ができます。

改正前の民法では、契約を解除するためには、売主に帰責事由があることが必要でしたが、改正民法では、引き渡された物が契約の内容と適合していない場合は、売主に何ら帰責事由がなくても、買主は契約の解除ができるようになりました。
(契約不適合責任は、賃貸借契約や請負契約等にも適用されます。)

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